ランダムウォークとくりこみ群
確率論から数理物理学へ
- 著 :服部哲弥
- 所 属:経済学部
- 出版社:共立出版
- 初版年月日:2004
- 形 状:A5判/352頁
- ISBN:978-4-3200-1733-7
- 定 価:4,725円(税込)
経路上の確率測度(確率連鎖)の紹介から始めて、くりこみ群を初等的に説明する。くりこみ群の本質を損なわない範囲でもっとも簡単な対象によって、くりこみ群の考え方を数学的に説明することが目的である。
理論物理学においてくりこみ群と呼ばれる無限自由度の系を解析する理論がある。
この理論を確率過程論に適用することで、特に、これまで統一的な研究手段の少なかったマルコフ性を持たない確率過程に関して、ある種のフラクタル(および1次元空間)上の場合に、統一的に精密な結果を得ることに成功してきた。
これらの研究成果のうち、くりこみ群に関して本質的な部分であって、非専門家に対してもself-containedな形で説明できる部分に焦点を絞って整理した。
2部からなる。
第1部。Path空間上の確率測度。
単純ランダムウォークと self-avoiding path を題材として、path上の確率測度にまつわる初等的な事実を紹介する。
題材を限定することで両者を一冊の教科書で扱ったのが特色である。
第2部。くりこみ群による path空間上の確率測度の解析。
複雑な形の path を大まかな構造に細かい構造を付け加えることで作る、というくりこみ群のみかたを、path上の確率測度という題材の中で紹介する。
たとえば、1次元くりこみ群から定まる確率連鎖(確率過程)のクラスを新たに見出し、それについて一般化した重複対数の法則を証明した。