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東シナ海祭祀芸能史論序説

  • 著  :野村伸一
  • 所 属:文学部
  • 出版社:風響社
  • 初版年月日:2009
  • 形 状:A5判/364頁
  • ISBN:978-4-8948-9139-5
  • 定 価:3,150円(税込)

  本書の内容は東シナ海周辺地域に関する祭祀と芸能の史論です。この地域の原風景として、朝鮮半島南部では巫覡(ムーダン)の祭儀(クッ)、農楽隊による地神踏み(ジシンパプキ)と堂山祭(タンサンジェ、村祭)があります。そこでは仮面戯や傀儡戯もみられます。一方、沖縄では神の森御嶽(ウタキ)があり、一年の交替期の節(シチ)や豊年祭の奉納芸能は今も盛んです。台湾は今日、聖母媽祖(マズ)や王爺(ワンイェ)(災厄の神、地域守護神)の祭祀がとくに盛大です。中国江南でも祭祀と芸能は復興しています。観音(グァンイン)(観音娘娘(ニャンニャン))や媽祖信仰は日増しに拡大し、寺廟の規模拡大とそこでの演劇は驚くほどです。南戯(ナンシ)(宋代以来の伝統演劇)の末裔は健在です。
 本書では以上の原風景に六つの基軸を用意しました。各章ではまず歴史的な接近をし、次に現在の姿を図示しました(《現在伝承》)。ただし実際の探求の軌跡はその逆です。まずは現場で見学、記録し、のち資料に基づき時間を遡りました。本書には新機軸があります。それはサイト「慶應義塾大学アジア基層文化研究会」との連動です。その映像と写真は随時更新し、本書の現在伝承を補います。東シナ海地域を一体として扱う研究領域は現在の大学教育には制度としてありません。これには朝鮮語と中国語が必要で時間がかかります。しかし、若い人が理念をもって臨めば先行者の未踏の地に到るのは難しくはない。願わくば、今後、若い人が一念発起し東シナ海周辺地域の祭祀や芸能に接近されんことを。

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