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Constructicography: Constructicon development across languages

  • 著  :小原京子(編著)
  • 所 属:理工学部
  • 共著者:Lyngfelt, Benjamin, Lars Borin, Tiago Timponi Torrent(編著)
  • 出版社:John Benjamins Publishing Company
  • 初版年月日:2018年7月17日
  • 形 状:313ページ, 16.51x1.91x24.77 cm
  • ISBN:9789027201003
  • 定 価:$143.00

認知言語学では、人が持つ言葉の知識の単位を、「形式」とそれの持つ「意味」が対になった「構文」(construction)と呼んでいる。ソシュール以来の記号の捉え方を基にした単位である。そして、人の持つ言葉の知識の全体像を、様々な大きさの「構文」が集まった総体と捉え、「コンストラクティコン」(constructicon)と呼んでいる。つまり、「コンストラクティコン」は、人が頭の中に持っている(と想定される)「構文」の辞書といえる。今世紀に入ってから、認知言語学の「コンストラクティコン」の考えに則り、辞書編纂学(lexicography)の手法で、様々な「構文」を記述する試みが多くの言語に関して始まった。このプロジェクトは、「コンストラクティコン」とlexicographyとを組み合わせて、constructicographyと命名された。

本書は、constructicographyに関する初めての研究書である。「コンストラクティコン」研究を概観した章から始まり、英語・ドイツ語・本語・ポルトガル語・ロシア語・スウェーデン語それぞれの「コンストラクティコン」辞書記述についての章、複数の言語の「コンストラクティコン」間を対応づける試みに関する章などから成る。

近年では、「コンストラクティコン」、すなわち、話者の持つ言葉の知識の全体像とは、単なる「構文」の集まりではなく、「構文」同士が複雑に結びついたネットワークであるという仮説が浮上し、認知言語学の近隣分野である心理学や認知科学も巻き込んで注目されるようになってきている。

英語・ドイツ語・本語・ポルトガル語・ロシア語・スウェーデン語の「構文」に興味のある人だけでなく、言葉と心の関係、文法と語彙の関係に興味のある人に是非本書を手に取っていただきたい。

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