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Où t’en vas-tu?, suivi d’Enfer

  • 著  :正宗 白鳥
  • 翻訳者:コミネッティ,フィリップ
  • 所 属:商学部
  • 出版社:
  • 初版年月日:2015
  • 形 状:
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  • 定 価:

フランスでは1930年代に『冷涙』がほぼリアルタイムで「現代文学」として訳されて以来、正宗白鳥の著作が刊行されることはなかった。かつてよりフランス人読者の日本文学に対する関心は、甘美・優雅で異国趣味的な古典と、「今話題の」現代文学とに二極化した傾向があるが、そのような偏った好奇心にかかわりなくLes Belles Lettresの日本文学シリーズは根気強く日本文学の見落されがちな側面に光を当て続けている。シリーズの25冊目として、1908年刊行の『何処へ』、翌年刊行の『地獄』を選定し、自然主義期の若き白鳥を紹介することとした。明治末期の自然主義の代表作として『破戒』、『布団』は様々なヨーロッパ言語に訳されているものの、当時それらと肩を並べるほど反響のあった『何処へ』はこの度初の翻訳となる。巻末には「日本自然主義」という比較文学的考察を添え、その中では、当時、文学観や道徳を「支離滅裂」にするという非難を浴びていた日本自然主義者グループをヨーロッパ自然主義の一つの受容とみなしつつ、彼らがまだ潜在的でしかなかった「近代小説」の規範を決定する役割を果たしたことを明らかにし、その複雑な過程を総括することを試みた。さらに作品解説においては、舶来文学への鋭い理解のもとに受容と創作とが一体化した営みを実践しつつ、可能性、多義性豊かな文章を生み出そうとする野心に満ちた白鳥の姿を浮き彫りにした。

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