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ロシア語時制論 ―歴史的現在とその周辺

  • 著  :金田一真澄
  • 所 属:理工学部
  • 出版社:三省堂
  • 初版年月日:1994
  • 形 状:A5判/568頁
  • ISBN:978-4-3853-5537-5
  • 定 価:19,369円(税込)

本書は、ロシア語の時制用法の中で、現在形の用法を扱っている。現在形は、現在時を表すと同時に、無時間性や普遍性などの性質を有する興味深い時制である。ここでは「歴史的現在」をはじめ、小説の中での現在形の用法を扱っている。ロシア語の小説における時制用法の特徴は、欧米の小説が過去形を忠実に守るのに対して、意外なところで現在形が散見されることである。例えば、自伝のような作品や夢を描いたものや登場人物の会話の中での語りやト書きなど、多数見られる。本書では、登場人物が物語る場面での現在形の用法をトゥルゲーネフの諸作品から、自伝での現在形用法をトルストイの諸作品から、夢の描写での現在形の用法をドストエフスキーの諸作品から、そして典型的な歴史的現在のレトリックとしての用法をプーシキンの全作品から収集し、分析と考察を施している。またチェーホフの800余りの作品を対象に現在形の様々な実験的用法を考察し、時制の役割の限界をさぐった。分析対象として、中世のロシア語作品や、現代の不条理な世界を描いた作品なども取り上げている。日本語の小説でも現在形の用法は頻繁に見られることから、日本人の研究者の目を通して分析することに意味があると愚考し、日本語との比較対照も行いながら考察を行ったものである。

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