15世紀末にローマで制作された壁画にみられる競合意識
研究表題 | 15世紀末にローマで制作された壁画にみられる競合意識 | ||
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発表年 | 2021 | ||
系統(大分類) | 人文社会系 | ||
分野(中分類) | 人文学 | ||
分科(小分類) | 芸術学 | ||
発表者 | 発表者名 | 荒木文果
アラキ フミカ |
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所属 | 理工学部 | ||
関連サイト | |||
共同発表者 | |||
概要 | 2019年に美術史の専門書に特化したローマのカンピサーノ社よりイタリア語で刊行された単著 Le cappelle Bufalini e Carafa: dall’odio dottrinale e cultuale tra domenicani e francescani alle rivalità artistiche(2019)を紹介する。本書では、1480~90年代にローマで制作された3つの壁画―システィーナ礼拝堂壁画、ブファリーニ礼拝堂壁画、カラファ礼拝堂壁画について多角的に論じた。パネルでは特に「競合意識」というテーマに光を当てる。 1481~82年に行われたシスティーナ礼拝堂壁画装飾事業には、4名の独立した画家がローマに招聘され共同制作を行った。本書では、この事業で全体を統括したとされるウンブリア地方出身の画家ピエトロ・ペルジーノに対するフィレンツェの画家サンドロ・ボッティチェッリのライバル心を、様式分析と史料の読解を通して明らかにした。その後、両者の様式的な対立構造は、それぞれの弟子筋が描いたブファリーニ礼拝堂壁画(ベルナルド・ピントリッキオ作)とカラファ礼拝堂壁画(フィリッピーノ・リッピ作)に受け継がれていくが、これらの壁画の特異な図像表現や制作の背景を注意深くたどってみるならば、そこに芸術家間だけではなく、各事業の背後にいたフランチェスコ会とドメニコ会の競合意識までもが立ち現れてくるのである。 |
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ポスター |